もしも建物が話せたら

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久々の映画は、ヴィム・ヴェンダースが制作総指揮の映画『もしも建物が話せたら』です。
よいタイミングで自分が好きなヴェンダース関連の映画が上映されていてラッキーでした。

建築物が一人称になって語るという切り口がユニークで 
6人の監督がそれぞれチョイスした建物を舞台に撮ったドキュメンタリーのオムニバスです。


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ヴィム・ヴェンダースは故郷ドイツのベルリン・フィルハーモニーです。

1963年に竣工。指揮者を中央に配置するような設計は当時は斬新だったみたい。
父である建築家ハンス・シャロウンの思いを引き受け、音響にこだわった複雑な構造を誇らし気に語ります。 
そういえば近くにベルリンの壁があった。色んなものを見てきた建物。指揮者や演奏者、床を直す職人、舞台裏をメンテするスタッフ、みんなかけがえのない友人。彼らとともに何十年と・・・一流の音を体中に響かせる、それが至福の時。
この先もまだまだそこで生きていく。周りで何が起きようと、観客に自慢の音を聴かせる場であることに変わりないのでしょうね。


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ロシア国立図書館サンクトペテルブルク/監督:ミハエル・グラウガー

図書館員が歩く床のきしむ音、奥の古い書物の部屋は古い蛍光灯がバチバチッ。なんとなく空気と匂いまで想像してしまうような臨場感。
1795年に建てられた公共図書館。200歳超え?ロシアで出版されたものは必ずここに存在するんだって@@;だから莫大な蔵書を誇るそうです。中には歴史上、問題視され秘密の部屋に隔離されたり番号を付けないことで生き延びた本も。どんな思想の本でも分け隔てなく存在を認めてきた建物。知識と人の思いが密集している空間は圧がありそう。。。外は寒いはずなのになぜか気温が高そうな空間に、ゾクゾクっ!




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ハルデン刑務所/監督:マイケル・マドセン

ノルウェーの刑務所っていうことで、まず一般人は行くことはないですから未知の世界。。。笑
しかし、この建物は刑務所っぽくなくて驚いた。各部屋はミニマムな集合住宅みたいな感じ。所々北欧らしいシンプルで小奇麗なデザインに驚き@@;
ジムも図書館もスーパー、音楽室(レコーディングも出来る)もあるんだから。。。
「こんなに犯罪者を甘やかして大丈夫!?」って映画の趣旨とは違う視点で観てました(笑)でも心配ご無用!再犯率は日本の半分以下だそうです@@;ウソでしょ〜!?



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ソーク研究所/監督:ロバート・レッドフォード

アメリカの生物医学研究所。1963年「ピカソを招いても良いような研究所」という依頼で計画されたんだとか。
あまりにカッコよくて監督も色々なアングルの映像をこれでもかーこれでもかーと映す(*^^*)通路などをなめるような視点で映すと、自分もここの通路を歩いているような臨場感。3Dで観たかったな。ここに勤めてる人達、爽快だろうなぁ・・・憧れます( *´艸`)
コンクリート打ちっぱなし+木窓の劣化具合がまたいい味出てる!
・・・この建物から影響受けた建築物は数知れず(^^♪そういば似てるの、みた事ある!



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オスロ・オペラハウス/監督:マルグレート・オリン

ハルデン刑務所に続いてまたノルウェー。白を基調としたステキなデザインの建物ですよね。実は初めて知ったのですが(^^;)夜の映像を観たらガラスから漏れる光が綺麗でうっとりしてしまいます。
ここに訪れた人、通り過ぎた人、建物に触れた人、または触れなかった人。"私はあなたたちを覚えている"っていうことばが印象的でしたね。人の温もりや感情を感じ取りながら存在している建物。人が演じたりそれを観て感動することでこの建物はますます生かされるんですね。
バレエやオペラの役者人の練習風景、そして幻想的な演出を交え、詩的でアーティスティックなパートでした。



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カリム・アイノズ監督、パリのポンピドゥー・センター

他の建物に比べて割と大衆的?もし近くにあったら自分が一番行きやすそうだな。映画館あるし。
70年代からのエンターテインメントを先取りし引っ張ってきた場所です。
中で展示されるもの、映画や催し物は新鮮で刺激的で、どんどん移り変わる。
選択肢も豊富にあり、それぞれお客さんを空港のように送り出す。この多様さはNHKドキュメント72時間を思い出した。深夜・・・しばしの静かな時間を過ごしたらまた賑やかな一日が始まる。。。
1977年、当初は工場のようだと言われたみたいですが、とても前衛的な建物ですよね。 (^^♪ 




私のような超庶民はなかなか行けないであろう世界の建築物実際に足を踏み入れたような臨場感を味わえたことがもう大満足でした一般人が入れない建物の裏側もそっと覗けたりするワクワク感もありました。

親である建築家によって作られ、それぞれ使命をもって生きている建物たち。無機質な建物だけれどやはり人の思いが詰まってる。人の思いが積み重なってただの無機質な建物ではないオーラ、(性格?)を形成してる・・・本当に魂が宿ってるんじゃないか?なんて思いながら観ていました。私たちが居なくなってもその場でじっと存在していく建物。この先、何を目にするのでしょうね〜

で、この中で特に私が一番魅かれたのはロシアの図書館!独特な空気感にゾクゾクっと♪ 

ネットでの感想を読むと、ハルデン刑務所のパートに関心が多いですね~。