たかが世界の終わり


グザヴィエ・ドランの最新作『たかが世界の終わり』
を観てきました。
(好きな監督なので長めになっちゃった)

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グザヴィエ・ドラン、これまでの作品は起承転結がどれもはっきりしていてわかりやすかったように思う。が、ここにきて実験的になってきた印象。
Radioheadでいうと、1st2ndと来て、、「OKコンピュータ」飛び越えて「KID A」作ったみたいな感じ(´∀`)どうしよ、ワタシ次からついて行けるんだろうか(笑)

自分の死を伝えるため、12年会っていなかった家族の元を訪れる話。

才能も有り、家を離れて作家として成功した弟。
反対に、本当は自由に憧れているのに
自分の欲求を抑え家族を支える人生を選択せざるを得なかった兄。


12年の期間
それぞれが何かを抱えながら自分の立場を精いっぱい生きてきた。

その再会は年月の分だけ心がぶつかり合うものになる。
ずっと言い争いが絶えない会話劇の根底には、やっぱり愛があって
その愛が痛くてヒリヒリした。

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一番ぐっと来たのは
兄が弟を殴ろうとしたときの涙と、震える拳にこめられた愛と憎しみ。
そしてその拳に残る傷痕だな~。

やりきれない悔しさを拳に込めて、壁にぶつけて耐えてたんだろうかと思わせるもの。弟がそばに居たら弱音を吐いたり、頼りたかったのかもしれない。

やはり後から考えるごとにじわじわくる・・・やっぱりこの監督、好きだな。


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「首元や背中の汗、煙草を持つ仕草、目の演技などに答えは隠されているので察してください」的な、、。全部理解できてはいないかも(;'∀')。。。
ちょっともう一度観て確かめたいのは
弟が何をしに帰郷したのか察知した兄嫁と、察知した兄嫁に気づいた弟。
兄もおおよそ勘付いたように見えるけど、、どうなのかな?もう一回観てみないと。

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↑ドラン監督、今回は出演なし。

もう、オシャレ映画と片付けられない域に達したのかな?って思う。
この映画は人間臭くて汗臭い。
騒がれ過ぎと言われているけどやっぱり感性が鋭いんだよね。
この作品でカンヌグランプリ獲っちゃったし、最近だと、Adeleの「Hello」のMVを監督したんですよね。若干28歳で。。。これから先、どんな作品を作るんだろうか♪

さて、この監督の映画は音楽も濃いですね(笑)
フランスの歌手Camilleの曲、Home Is Where It Hurts(家は誰かを傷つける)
ヴォイスパーカッションが、心臓がドクドクと鳴っているような感じがして
生々しい。フランス系の湿った曲って艶っぽくて、時々不気味で好きだな。

なかなかゾクゾクする曲なので聴いてみて下さいね♪
 


私の家にはドアが無い
私の家には屋根が無い
私の家には窓が無い
どんな水も通してしまう
私の家には取っ手が無い
私の家には鍵が無い
奪いに来て
盗むものは何もないけど